こんにちはSHOです‼
前回の記事で足関節捻挫後のRICE処置について解説しました。
処置のその後、早期復帰するための早いうちからやっておきたいリハビリについて解説していこうと思います。
多くの病院では、診察で「安静にしていてください」との指示をすることが大半です。
安静が長期化すると足部周辺の機能が低下するだけでなく、下半身全体の機能の低下に繋がってしまいます。
今回は機能低下を最低限に防ぎ、早期に復帰するためのリハビリの方法を解説していこうと思います。
捻挫後の機能低下
捻挫後は炎症が起こり、足首周囲が腫れます。
腫れることで足関節の動かせる可動範囲が狭くなり可動域制限を作ってしまいます。
捻挫と可動域制限の研究では
- 捻挫後の回復状況が悪いものは、足関節の背屈可動域が低い
- 捻挫の危険因子として足関節背屈制限が強く関係している
との報告もあります。
つまり、足関節背屈制限は改善しなければ競技復帰するのが遅くなり、再受傷するリスクが高まるのです。
捻挫に伴い、前距腓靭帯や関節を覆っている袋である関節包が損傷します。
それにより靭帯や関節包に存在する感覚受容器も損傷し、関節の位置や運動を感じる感覚が低下してしまいます。
また、歩行時も疼痛があるので受傷側への荷重をかけることができず正しい足底への感覚が入力されにくくなり、足底の皮膚感覚の低下も起こっていきます。
足関節捻挫に伴う感覚の低下は、感覚を受容してそこから運動を行う身体システム(感覚運動システム)の異常をきたすのです。
さらに感覚運動システムの異常から下肢全体の機能低下に繋がっていきます。
捻挫と股関節機能の関係についての研究でも中殿筋・大殿筋などの筋力低下がみられ股関節の外転運動の筋力の低下すると報告されています。
これらの機能低下を最小限にすることで、捻挫からの早期復帰に繋がっていくと考えています。
捻挫後の機能低下を最小限にするための早期からのリハビリ
前述の通り捻挫後は様々な機能の低下が見られます。
早期復帰するためにも機能低下を最小限にし、更には再受傷を防ぐためのリハビリが必要です。
これからは以下の3点の機能低下を防ぐための早期からのリハビリ方法を解説していきます。
- 関節可動域制限の防止
- 股関節機能低下の防止
- 感覚機能低下の防止
関節可動域制限の防止
捻挫後は靭帯が損傷し炎症が起こることによって、足関節周囲が腫れてきます。
まずは腫れを少しでも減らすことが可動域制限の防止につながります。
以前ブログで解説したRICE処置の方法を実施することによって、腫れを最小限にすることができます。
RICE処置のブログも是非ご覧になってください。
炎症症状が落ち着いてきたら痛みのない範囲、または損傷した靭帯に負荷がかからない方向の関節運動から可動域訓練を開始します。
具体的には、捻挫では内反強制が起こることにより前距腓靭帯が損傷します。
その前距腓靭帯に伸張ストレスがかかると痛みを伴い、靭帯の治癒を遅らせることになるため靭帯にストレスのかからない背屈・外反の動きから行っていきます。
前述した通り、足関節の背屈可動域制限は回復状況が悪くなり、さらに再受傷をする危険因子となります。
よってまずは背屈の可動域練習から行っていきます。
方法としては、自動運動での背屈練習です。
ポイントとしては
- 足指屈曲で背屈する(長趾伸筋の代償的な背屈を防ぐため)
- 足部中間位で背屈する(距骨下関節回内外中間位で行う)
長趾伸筋が過剰に力が入ると、足関節の前面に詰まるような痛みが出てきます。
また、中間位で背屈することにより足関節の悪い動きを予防することが出来ます。
他にも足関節の背屈運動の練習として、椅子に座っている状態で足を床に置き踵を後ろに引くことで背屈運動を促す方法もあります。
この方法では足底の感覚も入った状態で背屈運動を行うことができるので、歩行時の正しい動きを促すことができ、更には今後リハビリで行うスクワットやランジの正しい姿勢を促すことも出来るのです。
背屈運動の練習は過剰な痛みが出ないように気を付けながら行いましょう。
股関節機能低下の防止
捻挫後は靭帯が損傷したことによる炎症により、疼痛があり患側へ体重をかけることができなくなります。
患側に体重がかかっていないことにより、足関節の機能の低下だけでなく股関節の機能も低下していくのです。
前述したとおり、股関節の機能でも特に中殿筋・大殿筋などの股関節の外転筋力の低下を認めることが多いと言われています。
股関節の機能低下の防止のためにも早期から股関節周囲(特に外転筋)の筋力トレーニングが必要になるのです。
外転筋の筋力トレーニングとして紹介するのは、横向きに寝ている状態(側臥位)で上に下肢を挙げる方法です。
ポイントとしては、
- つま先の向きが上を向かずに、横または少し下を向くようにする
- 足を尾側方向に伸ばし、股関節だけで動かすようにする
つま先が上に向くと大腿直筋や大腿筋膜張筋が過剰に働いてしまうので、中殿筋が正しく働きません。
また、多くの方は骨盤の引き上げ運動になってしまい、股関節があまり動かず行っていることがあり中殿筋に正しく使えていないことがあります。
以上のポイントに気を付けながら行うことで効果的に中殿筋に働くトレーニングになります。
サイドブリッジなどのトレーニングも外転筋に働くのでオススメです。
足の痛みも伴わずに行えるトレーニングになるので、積極的に行いましょう‼
感覚機能低下の防止
靭帯が損傷することにより感覚受容器も損傷し、関節の運動覚や位置覚の低下が起こります。
また、患側へ体重をかけられないことで足底の皮膚感覚も低下していきます。
これらの感覚機能低下を防ぐために荷重訓練を行っていきます。
荷重訓練の方法としては、捻挫後数日では過剰に荷重がかかると痛みが出るので椅子に座りながら床に足を置き徐々に荷重をかけていくことをオススメします。
疼痛が軽減してからは立った状態で徐々に荷重を増やしていき、最終的には片脚立位が出来るようになることです。
早期から患側へ荷重をかけ正しい歩行をすることが早期復帰するためのポイントになります。
歩行時に痛みがある場合は足関節のサポーターやテーピングをして固定をした状態で患側へ荷重をかけて歩くように促していきます。
また、捻挫後は足部全体の浮腫もでてくるので足底の感覚が低下しやすくなります。
テニスボールやゴルフボールなどを使って足底のマッサージを行うことも感覚低下の予防になるので是非行ってみてください。
まとめ
今回は足関節捻挫から早期に競技復帰するための早期から行ったほうが良いリハビリについて解説しました。
捻挫後は可動域制限、感覚機能の低下、股関節機能の低下が起こります。
以上の3つの機能低下を少しでも防ぐために早期から可動域練習や荷重訓練、股関節トレーニングを行っていきましょう。
可動域練習や荷重訓練は骨折や捻挫の重症度によって組織の治癒が遅れることがあるので、医療機関でどの程度動かして良いのかを確認してもらってください。
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